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"A Prairie Home Companion"

アルトマンの遺作となってしまった『A Prairie Home Companion』が、『今宵フィッツジェラルド劇場で』(仮)という邦題で来年3月に日本公開されることになりました。東京ではル・シネマとル・テアトル銀座での公開が予定されています。僕は米国で封切られた6月にNYで観ていますので、ごく簡単に紹介しておきます。

A Prairie Home Companion trailer

これは実在する同名番組『A Prairie Home Companion』を設定に借りて、まるで半世紀以上前からタイムトリップしてきたようなラジオ番組が大企業の局買収のために打ち切られる最終回の舞台裏を描く、音楽たっぷりのコメディ映画です。
実際の『A Prairie Home Companion』は全米計580以上の公共放送局で毎土曜午後に公開生放送されている人気番組で、日本でもAFN(かつてのFEN)で日曜午後4時からやっています。この映画の脚本を書き、自分をモデルにした役柄GKを演じているギャリソン・キーラーがホストを務め、音楽にコメディ・スキット、架空の町からのレポート、架空の商品のCMなどで構成されるヴァラエティ・ショウです。
そこでフィーチャーされる音楽は広義のフォーク音楽。伝統歌手からコンテンポラリーなシンガー・ソングライターまでのフォーク、カントリー、ブルーグラス、ブルーズ、ゴスペルなどが歌い演奏され、毎週豪華なゲストが登場します。映画ではメリル・ストリープとリリー・トムリン演じるヨランダ&ロンダ・ジョンソン姉妹とリンジー・ローハン扮するヨランダの娘ローラというカーター・ファミリー的なファミリー・グループと、ウディ・ハレルソンとジョン・C・ライリー扮するダスティ&レフティというユーモラスなカウボーイ・ソングを歌うコンビが楽しませてくれます。
その他は実際の番組の出演者たち。ヴェテラン・フォーク・デュオのロビン&リンダ・ウィリアムズ夫妻の健在ぶりを知るのは嬉しいかぎり。ゴスペル歌手のジェアリン・スティールはミネアポリス出身のゴスペル・ファミリー・グループ、スティールズの一員。スティールズは90年代に同郷のプリンスとよく共演してましたね。ジェアリンの姉ジェヴェッタは映画『バグダッド・カフェ』の印象的な主題歌〈コーリング・ユー〉を歌ったあの人です。
ウィンダム・ヒルのピアノ・アルバム数枚にも参加しているリチャード・ドゥオスキーの率いるバンドもなかなかのメンツですよ。パット・ドノヒューはチェット・アトキンズをして「世界最高のフィンガーピッキング奏者の一人」と言わしめた名ギタリスト。フィドルとサックスは、コマンダ・コディ&ヒズ・ロスト・プラネット・エアメンのアンディ・スタイン! そしてアルバムや教則本を幾つも出しているマンドリンとフィドルのピーター・オストロウスコといった面々を擁して、ゴキゲンなインストを何曲も聞かせてくれます。

本家の番組を知らなくても問題なく楽しめる映画ですが、番組を知らないと脚本の工夫した点だけはわからないかも。ケヴィン・クライン扮するガイ・ノワールもダスティ&レフティも元は番組内のスキットのキャラクターで、それを生身の人物にしたところがミソ。番組が進行する舞台裏でガイ・ノワールがヴァージニア・マドセン演じる謎の美女の正体を探るというプロットを作ったわけです。
もちろんアルトマンの社会批評精神は健在です。テキサスの大企業がラジオ局を買収し、番組に鉈を振るうという設定は、サンアントニオに本社を構え、経営陣がブッシュ家と深いつながりを持つクリア・チャンネル・コミュニケーションが全米のラジオ局を買いまくり、傘下に1200以上の局を持つ巨大メディア企業になって、その弊害が問題視されている現状を踏まえています。

"My Minnesota Home" Meryl Streep & Lily Tomlin as Yolanda and Rhonda Johnson

"Bad Jokes" Woody Harrelson and John C Reilly as Dusty & Lefty

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R.I.P. Robert Altman (1925-2006)

Altman

まさに巨星堕つ。

僕の敬愛する映画監督の筆頭にあげられるロバート・アルトマンが(現地時間で)月曜夜LAで亡くなりました。享年81歳。
死因はガンが原因の合併症だそうです。今年初めのアカデミー賞授賞式で名誉賞を受けたとき、記者会見で実は約10年前に心臓移植をしていたと告白しましたし、高齢でしたから、寿命ということなのかもしれませんが、2月に撮影開始を予定していた新作の準備中だったので、周りの人たちにも突然のことで驚きだったそうです。

僕にとってこの知らせが皮肉なのは、今年6月に全米公開された新作(で遺作になってしまった)「A Prairie Home Companion」の来春の日本公開がやっと決まり、そのプレス向け資料のための文章を昨日書き上げて送ったばかりだったから。それで、一晩明けたら、監督の訃報が届いていたわけで・・・。

追悼記事を読んでいると、一番使われている形容が「maverick」ですね。群れから離れた一匹狼、独立独行の人、という意味。確かにハリウッドではずっとアウトサイダーの監督で、スタジオの重役とは常にぶつかり続けたわけですが、それでも「自分の撮りたくない作品は1本も撮っていない」という姿勢を貫けたんですから、アーティストとしては幸福な人生だったんじゃないでしょうか。

「A Prairie Home Companion」については、次のエントリーで紹介します。




DVDは何度も値段を変えては出し直すので、その谷間ということかもしれませんが、"The Long Goodbye""Nashville""The Player"あたりは常に入手可能にしておいてほしいものです。

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Another 71 yrs old R&R survivor, Jerry Lee Lewis

Jerry Lee Lewis - Pink Cadillac (Bruce Springsteen song)

こちらも当年とって71歳、ジェリー・リー・ルイスの最新作「Last Man Standing」から、
スプリングスティーン(歌とギター)との共演曲のヴィデオ。実写ではなくアニメですが、良くできてますね。カートゥーン化したブルースも登場させてほしかったところ。
今回の復帰作まで、近年ジェリー・リーの名前をあまり聞かなかった原因は結婚通算7回で6人目にあたる最後の妻との離婚が泥沼で、精神的ダメージも受けて、部屋に引き篭もって1日中TVを観ているといった生活を数年続けていたそうです。
でも、現在はすっかりやる気が戻っており、Willie Nelson, Kris Kristofferson, Kid Rock, Solomon Burke, Norah Jones, Chris Isaak などが出演したTVスペシャルの収録が終わり、放映の契約交渉中。もちろんDVDの発売も予定されています。
また、レコーディングの方も、新作で組んだジミー・リップが引き続きプロデューサーを務め、既にもう1枚のアルバムが完成済。本人曰くブルーズ・アルバムとのこと。そしてリップたちスタッフは次にカントリー・アルバムを作らせたい意向ですが、ジェリー・リーはゴスペル・アルバムが先だと言っています。

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Lewis & Springsteen @Sony Studio, New York in 95
この写真(by Neal Preston)は95年のロックンロール・ホール・オヴ・フェイム&ミュージアムの開館イヴェントのプロモーションのために撮られたもの。開館記念コンサートでは、ブルースとEストリート・バンドがジェリー・リーのバック・バンドを務めました。
実は、なんと僕はこの撮影現場にいたんです!
95年、NYのソニー・スタジオで初めてブルースにインタヴューしたときのこと。僕のインタヴューが終わって、フォト・セッションに入ったんですが、そこにサイア・レコード社長のセイモア・スタインに連れられて、ジェリー・リー御大がやってきたんですね。そんな話は全然聞いてなかったのでビックリ! ご挨拶だけして、一言二言お話をした記憶はありますが、何も覚えてないということは大したやりとりではなかったのでしょう。撮影に備えて、顔のメイクがかなり濃かったことだけよく覚えています。

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Mr.Samuel Moore

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Sam Moore during the photo session after my interview for the next issue of 「おやじロック」magazine (due out in Feb) on Nov 17

Sam Moore @Blue Note Tokyo on Nov 14

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Tom Waits Live MP3s and more

Tom2

引き続き、トム・ウェイツの話題を。彼のライヴ・トラックのMP3がダウンロードできます。
Anti レコードがインフォを流しているので、オフィシャルなものですね。
Tom Waits, 'Falling Down' (Live) [Original album: 'Big Time']
Tom Waits, 'Eye Ball Kid' (Live) [Original album: 'Mule Variations']
ただし、期間限定らしい。ここで即ダウンロードしてください。

こちらは、Anti のレーベル・メイトでもあるジョリー・ホランドの歌うトム・ウェイツの「Little Rain (For Clyde)」(from Bone Machine)です。

Jolie Holland - "Little Rain (For Clyde)"

Recorded @ Barrymores - Ottawa, ON 10/14/06

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Video from Tom Waits' great new album "Orphans"

Orphans "Orphans: Brawlers, Bawlers & Bastards"

Tom Waits - Lie To Me

トム・ウェイツのニュー・アルバム「Orphans: Brawlers, Bawlers & Bastards」(Anti) は日米とも来週発売になりますが、まず第1弾のヴィデオが公開されました。アルバムの
1曲目を飾るトム風ロカビリーという感じの曲。曲もヴィデオもゴキゲンでしょ。
この新作は3枚組の大作。54曲内30曲が未発表の新曲という内容です。
3枚のアルバムにはそれぞれタイトルが付いています。この〈Lie To Me〉も入っている「Brawlers」(騒がしいやつ)はブルーズやブギーを怒鳴りたて、「Bawlers」(泣き叫ぶやつ)は叙情的な曲が中心、そして「Basters」(私生児)は過去20年に映画のサントラやトリビュートなどの企画作に提供した曲を集めたもの、となっています。
計3時間以上というすごいヴォリュームを前にひるむ人もいるかもしれませんが、はっきり言っておきます。素晴らしいアルバムです。曲は多彩でまったく飽きさせませんよ。
今月下旬発売のミュージック・マガジン誌のCDピックアップでレヴューを書いています。読んでみてください。

Anti recordsが3曲のMP3をダウンロードOKで公開しています。
"Road To Peace" MP3
"You Can Never Hold Back Spring" MP3
"Bottom Of The World" MP3
〈Road To Peace〉はトムがパレスチナの紛争について怒りを表すプロテスト・ソング。
彼が直接的に政治問題を歌うのは初めてのことです。


「Tom Waits' Jukebox」は新作発売の便乗商品で、トムが影響を受けたアーティストの曲を集めた英国編集25曲入りのコンピレーションですね。

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Little things I know about the female singers in Sam Moore's band

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Callaway's promo photo; Bekka Bramlett & Callaway @SXSW06

実のところ、今回のブルーノート公演から半年以上さかのぼって、3月にオースティンでもサム・ムーアを観ています。そのときに女性ヴォーカルが2人とも白人ながら凄くソウルフルだったので、一緒に観ていたデイヴ・マーシュ師匠(サム&ジョイス・ムーア夫妻と親しい)に訊いたら、「(ディレイニー&ボニーの娘の)ベッカ・ブラムレットだよ、知ってるだろ?」と言われ、なるほどと頷いたんですが、そのベッカは新作にも参加しながら、今回はヴィンス・ギル(4枚組の新作に注目!)のツアーのために来ていません。
が、そのときのもう一人の歌手キャラウェイはいます。とっても可愛い女性ですが、帰宅して調べたところ、なんとまだ15歳!とのこと。ベッカが娘のように可愛がり、そのSXSWの舞台で初めてサムと歌い、気に入られてバンドに加入したそう。

     
Bekka & Callaway sing on Mama Bramlett's brand new album; Joe Jackson's 84 album feat.Elain Caswell.

そして今回のコーラスのもう1人はイレイン・キャスウェル。NYで長年活動している女性歌手で、ジム・スタインマンのプロジェクトによく参加している人です。96年にセリーヌ・ディオンが全米第2位にしたスタインマン作の「It's All Coming Back to Me Now」はイレインが最初に歌った曲なんですね。
とはいっても、僕が彼女の名前を知っているのは、84年にジョー・ジャクスンと「Happy Ending」というシングル曲をデュエットしていたからです。
で、帰り際に店の出口の階段で、そのイレインにばったり会ったので、しばし立ち話。
彼女は日本に来る直前に、その「Happy Ending」のプロモヴィデオがYouTubeにアップされていると友人に教えてもらい、20年以上観ていなかったヴィデオが日本のチャンネルから録画され、日本人がアップしている事実に驚いたところだったと言ってました。
あと、近年のジョー・ジャクスンの仰天話を聞きましたが、ここではとても書けません!

Joe Jackson with Elaine Caswell - Happy Ending

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Sam Moore @Blue Note Tokyo on Nov 14

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Photos from SXSW06 in Austin, TX on March 18

いつもの僕は、どんなに音楽が素晴らしくても、チケット代(チャージ料金)が1万円を超えるコンサートを薦めることはしません。以前にMM誌のチケット代高騰に関する記事でも書きましたが、庶民の感覚では2時間前後のエンタテインメントに払う金額は1万円が限度だと思うからです。それに有名なアーティストでなくても、もっと安い値段で楽しめるライヴ・ギグはたくさんあります。

ただし、今回は例外的に紹介します。月曜から始まって17日の金曜日までブルーノート東京で連夜やっている(元サム&デイヴの)サム・ムーアのショウです。
チャージは13,650円もします。やはり高過ぎるとは思います(正直に記しておくと、僕は金曜日にインタヴューするので、今回はご招待で見せていただきました)。でも、観た満足度は金額と計りにかけられないかもしれません。客席はずっと幸せそうな笑顔でいっぱい。そして毎日ほぼ同じことをやっているはずのバンドの面々にも頻繁に笑顔が浮かぶ。そんなライヴでしたから。
サム・ムーアは驚くなかれ、今年で71歳になりました。でも、まだまだ歌えます。残りの3日間をご覧になる方もいらっしゃるでしょうから、詳しくは書きませんが、セットリストは新作「Overnight Sensation」から、スタックス・ソウルのかつての仲間たちのヒット曲、そしてもちろんサム&デイヴのヒット曲で3等分くらいの選曲。バンドだけのウォーム・アップの演奏や女性ヴォーカルのフィーチャーなどソウル・ショウのおきまりのコーナーはありますが、一部のヴェテラン歌手がやるようなメンバーのソロでの時間稼ぎとかはありません。中味のぎゅっと詰まったショウになっています。
ちなみにブルック・ベントンの「Rainy Night in Georgia」をやるんですが、これについてだけは説明しておきましょう。 この曲はR&Bとカントリーのアーティストが共演した94年のアルバム「Rhythm Country & Blues」で、コンウェイ・トゥイティとデュエットした曲。録音直後にコンウェイが亡くなってしまったので、サムには特別な曲なんですね。

バンドは日本から参加のトロンボーンとバリトン・サックスを加えた4管を含む9人+コーラス2名。ミュージカル・ディレクターのベース奏者、サックス、トランペットの3人は、ローリング・ストーンズなどとの共演で知られるアップタウン・ホーンズのメンバーです。

なお、サムが新作アルバム発表後にTV出演したときのヴィデオが、残念ながら今回は来ていないヴォーカルのベッカ・ブラムレットのウェブサイトからダウンロードできます。

SXSW 06 - day4 (18/03/06) pt.1: "Louisiana at Town Lake" benfit concert


Sam & Dave - Soul Man

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Bruce Cockburn videos

夏に出た新作からのプロモ・ヴィデオがありました。
Bruce Cockburn "Different When It Comes To You"

The latest video from Bruce Cockburn's new album "Life Short Call Now".

こちらは84年の名曲。中米諸国の内戦を背後で操る合衆国の外交政策への怒りの歌。
このヴィデオ2本は貼り付けられなくなっているので、リンク先のYouTubeのページで見てください。
Bruce Cockburn - If I Had A Rocket Launcher (promo clip)
Bruce Cockburn - If I Had A Rocket Launcher (Live with Colin Linden on 12/9/91)


New album; Guitar instrumentals; Best album (Singles 79-02).

Bruce Cockburn @Vancouver Folk Music Festival 2004

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Bruce Springsteen - Love Of The Common People

Interview segment on Barcelona TV incl. snips of 4 live performances:
"Love Of The Common People""John Henry""Johnny 99" and "Old Dan Tucker."

バルセロナのTV番組でのブルース・スプリングスティーンのインタヴューですが、現在進行中の今年2回目の欧州ツアーで取り上げ始めた曲「Love Of The Common People」がチラリと聴けるので紹介しておきます。
皆さんの多くはこの曲をポール・ヤングの83年のヒットと記憶していると思いますが、元々はウェイロン・ジェニングズの67年のアルバムの表題曲で、カントリー畑の曲。それを70年にレゲエ歌手のニッキー・トーマスが英国でトップ10入りするヒットにして広く知られるようになったもの。窮乏の暮らしを描きながら、それでも彼女は「普通の人びとの愛情」に包まれてなんとか生きていける、という内容の歌です。
インタヴューでは、ライヴ・パフォーマンスのこと、04年選挙のこと、投票システムなどの米国の非民主的な部分の話の後、次のプロジェクトはEストリート・バンドと、近い将来に彼らとツアーもやりたい、と言っています。でも、肝心なことは、今とりかかっているのだけど、それにふさわしいだけの良い曲が書けるかどうかだ。俺は年寄りのミュージシャンだから(笑)、飲んだり騒いだりしないでホテルにまっすぐ帰って、毎晩部屋でロック・ナンバーを書く努力をしている。結構良い曲もあるんだけど、聴き返してみないと、本当に良いかひどいかわからないから。かいつまむと、そんな話ですね。

Recent Springsteen-related releases
 
Maria sings "Backstreets"(!!) on piano. Solomon Burke sings "Ain't Got You"(from "Tunnel of Love").

New & recent Springsteen-related releases
Bruce Springsteen - We Shall Overcome/The Seeger Sessions "American Land Edition"

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Abigail Washburn & The Sparrow Quartet in Beijing


Bela Fleck, Abigail Washburn, Casey Driessen and Ben Sollee. This interview with the band was recorded on a hutong house rooftop as they jammed with Illiqi and Hujilitu from the Beijing-based Mongolian folk band Hanggai before they left for Tibet.

いやあ、こんなヴイデオが早々に観れてしまうから、YouTubeはありがたい。
10月中旬から約1ヶ月、アビゲイル・ウォッシュバーン率いるスパロウ・カルテットは今まさにチベット~中国をツアー中ですが、これはチベットに発つ前に北京で収録されたインタヴューと北京在住のモンゴルのフォーク・グループ、Hanggai のメンバーとのカジュアルなセッション風景の映像。北京のインターネットTVの番組用のようですね。

アビゲイル・ウォッシュバーンは人気沸騰のチャーミングな女性オールドタイム・グループ、アンクル・アールのメンバーで、クロウハンマー(フレイリング)・バンジョウ奏者で歌手。05年に大傑作デビュー・アルバム「Song of the Traveling Daughter」を発表してからは、並行してソロでも活躍しています。僕も大注目しているアーティストの一人です。バンジョウ奏者としては大先輩である、あの超絶奏者のベラ・フレックがすっかり惚れ込んでバンドの一員になっているほどなんですから。
5月に出した5曲入り「The Sparrow Quartet EP」は今年のベスト・アルバムの1枚ですね。彼女の歌があまりに素晴らしい。カルテットの名前はここから付けたと思われる有名ゴスペル曲「His Eye Is On the Sparrow」の解釈も鮮やかです。

このヴィデオの中でも達者な北京語を話していますが、アビゲイルは留学経験があり、中国の文化に強い愛着を持っています。実はオールドタイム・ミュージックに興味を持ったのも、中国の文化に興味を持った後、自国の文化にそれまでとは異なった見方をするようになって、オールドタイムを発見したというのです。
そんな彼女ですから、「Song of the Traveling Daughter」には中国のメロディーをとりいれ、中国からの移民の物語を北京語で歌う曲まであります。
04年に念願かなってミュージシャンとして中国に戻ってコンサートを行い、中国のミュージシャンと交流を持つ機会を得たのですが、今回は文化使節としてチベットを訪れることになり、行き帰りに中国に寄る、ということのようです。
春にSXSWで会って話したときには、次に中国に行くときは帰りに是非日本に寄って、とお願いしたんですけどね。

なお、アンクル・アールの新作の録音は夏前に終わっており、来年前半に発売されるはず。ダーク・パウエルに代わって、今回のプロデューサーはゼップのジョン・ポール・ジョーンズ! 彼はマンドリン奏者でもあるので、フォーキーな音楽も大好きなんですよ。

The Sparrow Quartet plays "Sometimes" in Shanghai. [only a snip]

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Abigail (w/Uncle Earl) @SXSW06. For more Abigail's photos, see here

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Abigail Washburn - The Sparrow Quartet EP (downroad only)

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John Hall is a Congressman now, while Kinky Friedman lost for the governer of Texas

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Now and Then (with Orleans in 1972)

米中間選挙は民主党が下院の過半数を制する結果となりました。上院はこれを書いている段階ではまだ決していませんが、いずれにせよ上院も議席数が拮抗するので、ブッシュ政権はレーム・ダック(死に体)になります。まあ民主党主導に変わっても、イラクの問題などはすぐに好転するとは思えませんが、良い方向に向かうように願いましょう。
ところで、今回現職を破って当選した新人議員の中にNY州19区のジョン・ホール氏がいます。そうです、元オーリアンズのジョン・ホールが下院議員になってしまったのです!
彼が立候補しているのはもちろん知っていました。ジャクスン・ブラウン、ボニー・レイット、地元に住むピート・シーガーらの推薦のEメールが日本の我々のところにも届いていたからです。しかし、共和党からの対立候補のスー・ケリー女史は94年からずっと議席を守ってきた現職で、とても勝てるとは思いませんでした。選挙資金も相手の130万ドルに対して、ジョン・ホールは8月末の時点で24万6千ドルと5分の1以下だったのですから。それが 51%-49%という際どい差で勝利したのです。
ジョンは79年にジャクスン、ボニー、グレアム・ナッシュらとMUSE(安全エネルギーのためのミュージシャン連合)という反原発団体を立ち上げ、「No Nukes」コンサートを行ってから、音楽活動と並行して環境問題の運動家としての活動を始めました。
ハドソン河沿いの原発建設を止める運動を成功させたこともあれば、89年から2年間アルスター郡の議員を務め、90年代後半にはソウガティーズの教育委員会の一員に2度選ばれてもいます。地元に密着した活動を続けてきたわけです。
その結果、今年9月の民主党の予備選で4人の候補がいながら、48%もの票を獲って民主党候補に選出されました。
ですから、芸能人が知名度を利用して・・・というのとはちょっと違うわけです。
もちろん彼より有名な友人のジャクスンやボニーらが選挙資金調達のためのコンサートや集会に出演したりして助けてきましたが。

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Jackson Browne Fundraiser Weekend;Little Steven & John Hall

そういえば、04年に再選を目指すブッシュ大統領がキャンペーン・ソングにオーリアンズのヒット「Still The One」を断りなく勝手に使い、ジョンがその差し止めを法的に訴えるという事件もありました。ジョンはその1件について「グーグルで検索するだけで作者の僕が民主党員であることくらいすぐわかるのに」と、自分たちのやりたい方向だけにしか目が向かない現政権の姿勢の現れのひとつだと語ってました。
この選挙戦でジョン・ホールが訴えた3つの主な政策はイラクからの撤兵、国民皆保険、環境問題(代替エネルギーの推進)でした。これからの活躍を期待しています。
勝利宣言のスピーチの最後はリトル・スティーヴンの(そしてジャクスンも頻繁に歌う)「I Am A Patriot」[真の愛国者だからこそ、主義にとらわれず、正義を求めていくというメッセージの歌]を歌って締めくくられたそうです。

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一方、テキサス州知事に立候補していたシンガーソングライターであり、人気ミステリー作家の我らがテキサン・ジューイッシュ・カウボーイ、キンキー・フリードマンは5人の候補の中で4位の結果に終わりました。12%の票を獲ったそうです。
昨年アラモの砦で出馬宣言したときは、誰もが冗談だろうと思ったのに対し、(民主でも共和でもない)独立候補としての出馬に必要な条件の1ヶ月で45,540人という署名を集めることに成功し、随所にユーモアを交えながらも本格的な選挙戦を展開してきました。
ジミー・バフェット、ウィリー・ネルスン、ライル・ラヴェットらの仲間が応援して、民主党候補と競るくらいの人気を集め、共和党の現職知事の背中がちらっと見えたという時期もあったようですが、人種差別ととられた冗談を撤回しなかったこと、候補者が揃った討論会で冴えなかったことが致命的だったと分析されています。
オースティンでは「次のテキサス州知事」だと盛り上がっていましたけどね。全体としては保守的なレッド・ステートのテキサスではやはり受け入れられませんか。


右のアルバムは選挙のキャンペーンのチャッチフレーズ「Kinky for Governor, Why the Hell Not.(キンキーを知事に。いいじゃねえかよ)」を表題にしたキンキーの曲の
カヴァー集です。
Why the Hell Not...: The Songs of Kinky Friedman [Compilation]
1. Get Your Biscuits In The Oven - performed by Kevin Fowler
2. Sold American - performed by Lyle Lovett
3. Wild Man From Borneo - performed by Charlie Robison
4. Rapid City, South Dakota - performed by Dwight Yoakam
5. The Gospel According To John - performed by Jason Boland & The Stragglers
6. They Ain't Makin' Jews Like Jesus Anymore - performed by Todd Snider
7. Lady Yesterday - performed by Bruce Robison & Kelly Willis
8. Ride'em Jewboy - performed by Willie Nelson
9. Homo Erectus - Asleep At The Wheel & Reckless Kelly

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Neil Young videos & new releases

ニール・ヤングが米国中間選挙にぶつけるブッシュ大統領弾劾ヴィデオ!
ダブヤの失政と発言の嘘と矛盾("flip flop![発言がコロコロ変わる]")が次々と指摘されます。下に流れるのはイラクで戦死した米兵の数。
Neil Young: Let's Impeach The President

以下でダウンロードもできます。
http://www.neilyoung.com/lwwtoday/index.html
訳詩と共に、このヴィデオのヘッドラインを全部訳されている方がいます。ここで。

この中間選挙投票日に最新作「Living With War」の"In The Beginning"ヴァージョンがiTunes Music Storeで先行ダウンロード販売が始まり、CD&DVD版は12月19日に
発売になります。これはコーラス隊などのオーヴァーダビングを取り去り、最初のトリオで録音されたときのミックスそのままという"Raw Mix”のヴァージョンです。DVDには
ウェブサイトで流していた全10曲のヴィデオと録音風景をそのまま収めたやはり全10曲のドキュメンタリー・ヴィデオを収録。

そして、長年待たされた「アーカイヴ」がボックス・セットではなく、CD&DVDのシリーズ
として遂に登場します。第1弾は70年のNYフィルモア・イーストでのクレイジー・ホース(ダニー・ウィットゥン在籍時で、ジャック・ニッチェも参加)とのライヴ。[*良く知られたブートレグでは69年とされていたが、実際には70年3月6-7日の出演時の録音]
Neil Young and Crazy Horse Fillmore CD + DVD Trailer

今年3月のニールの写真はこちらへ
SXSW 06 - day2 (16/03/06) pt.1: This year's keynote speaker, Neil Young
そのSXSWでニールが基調講演者として受けた公開インタヴューの内容や「Living With War」については、「THE DIG No.45」に記事を書いています。



CSN&Yつながりで、デイヴィッド・クロスビーの2作も紹介しておきましょう。「Voyage」は彼のキャリアを総括する3枚組ボックス・セットで、バーズ~CSN/CSNY~ソロ~CPRの曲が収められ、3枚目はデモや別テイクなどの未発表録音集になっています。71年のソロ・デビュー・アルバム「If I Could Only Remember My Name」は近年再評価の声が高いアルバムですが、リマスターCDとサラウンド・ミックスや珍しい写真、ヴィデオが収められたDVDとの2枚組で再発になります。ニール・ヤングも参加。

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Los Lobos - The Town and The City

日本盤ライナーノーツ担当作。
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Cutting Edgeから 11月22日発売。日本盤はボーナス・トラック2曲追加!!

ロス・ロボスのニュー・アルバム『ザ・タウン・アンド・ザ・シティ』は素晴らしい!
間違いなく代表作の一枚に数えられる傑作。92年のあの名作『キコ』に匹敵する重要なアルバムと言ってもいい。
実のところ、彼らは05年末に『キコ』を丸ごと演奏するというツアーを行ったのだが、その体験がサウンド・プロダクションに影響をもたらすひとつの要因となったようだ。チャド・ブレイクが大半のミックスを担当したサウンドは、確かに『キコ』を思わせる。

ただし、この傑作の誕生はかなりの難産だったという。その辺の苦労話は下にリンクを貼ったポッドキャスト(映像版)で当人たちの話を聞いてほしい。えっ、英語じゃわからん? それじゃ日本盤を買ってライナーを読むしかないっすね(笑)。

多くの曲は移民の夢と苦闘の体験を扱っていて、ある物語を語りかけてくる。表題「町と街」はケルアックの小説からとった題名でもあり、〈ザ・シティ〉と〈ザ・タウン〉という収録曲からとられたものでもある。その対比は彼らの両親の世代が後にしてきたメキシコの故郷とアメリカの都市の対比でもあり、彼らが育ったイーストLAの町と川向こうのLAのダウンタウンやハリウッドの対比でもあろう。だが、本作に描かれている物語はもちろんチカーノだけでなく、より良い生活を求めて故郷をあとにした世界中の移民と呼ばれる人びとに共通するものだ。
『キコ』との違いは、あのアルバムの歌の世界が主にシュールな白昼夢といった感じの印象主義的だったのに対し、今回はユニークなサウンドと人びとの苦闘の物語が組み合わされているのであり、それこそが本作の素晴らしさだ。

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Los Lobos - The Town & The City Podcasts


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Aimee Mann's Christmas album - One More Drifter in the Snow

日本盤ライナーノーツ担当作。
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『One More Drifter in the Snow』はエイミー・マンにとって初めてのクリスマス・アルバムである。(V2 recordsから11月8日発売)
ニクイのは世に溢れるきらびやかなクリスマス・アルバムとは趣きを変え、あえてロックンロール以前のクルーナー・タイプのポピュラー歌手のアルバムに選曲や編曲を習った「古典的」な作品をねらったこと(特に彼女が参考にしたのは、ジョニー・マティスの58年のアルバム『メリー・クリスマス』だそう)。ただし、それをオーケストラやビッグ・バンドの伴奏でなく、4人のバンドと録音したところがミソだ。プロデューサーは彼女のバンドの長年のベース奏者、ポール・ブライアン。
収録曲の内6曲はクリスマスのスタンダード曲。残りはジミー・ウェッブや夫のマイケル・ペンの曲が取り上げられ、書き下ろしの「Calling on Mary」で締めくくられる。異色なのはDr.スースの『グリンチはどうやってクリスマスを盗んだか』からの曲で、友人のグラント・リー・フィリップスとの共演。グラント・リーは音楽活動と並行して人気TVドラマ『ギルモア・ガールズ』に準レギュラー出演するなどの俳優業もやっているので、達者な役者ぶりを披露している。
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Aimeeitunesimage 
iTunes Originals - Aimee Mann CD&DVDコンボのライヴ・アルバムの日本盤も僕がライナーを担当。グラント・リー・フィリップスの最新作「Nineteeneighties」は80年代の曲のカヴァー・アルバム。ジョイント・ツアーするなど仲良しのロビン・ヒッチコックの「I Often Dream of Trains」をはじめ、REMやモリッシーなどの曲を取り上げたもの。


マティス、シナトラ、、メル・トーメ、ディーン・マーティンらのアルバムと並んで、本作に影響を与えたとエイミーが認めるのが、ジャズ・ピアニストのヴィンス・ガラルディが音楽を担当した『チャーリー・ブラウン・クリスマス』のサウンドトラックである。

Aimee Mann related entries from my previous posts
Aimee Mann's free d/l track @amazon.com
Aimee Mann "The Forgotten Arm"
Tickets for Glenn Tilbrook tour are now on sale!
Photos from SXSW05 in Austin part6: Showcases (March 19th)

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Ken Loach Film - The Wind That Shakes The Barley

月曜日にケン・ローチ監督「麦の穂をゆらす風」(The Wind That Shakes the Barley)の試写を観てきた。第59回カンヌ国際映画祭で最高賞にあたるパルムドールを受賞した見事な作品である。
舞台は20年代のアイルランドのコーク。英国からの独立をめざし、アイルランド共和軍(IRA)に参加し、戦いに身を投じる若者たちを描いた物語だ。
21年に彼らは「勝利」を収め、英国軍は撤退するが、結ばれた講和条約が英連邦の自治領としての「アイルランド自由国」であり、英国王へ忠誠を誓わねばならず、北の6つの郡は分割されて英国に残る、といった英国の権限と権益が守られたままの内容だったため、条約の賛成派と反対派が対立し、アイルランド人同士が戦う内戦が勃発してしまう。主役のキリアン・マーフィー(コーク出身)扮するデミアンと兄のテディは敵対する立場となり、悲劇的な最期を迎えることになる。
この経緯については、その講和条約をまとめた張本人マイケル・コリンズを描いた映画「マイケル・コリンズ」(96年)があったが、あれの反対側の立場から描いた映画とも言えるだろう。
特にケン・ローチらしいと感じたところが2つ。ひとつは主人公たちの戦いがジェイムズ・コノリーに影響を受けた社会主義の思想に基づいていた面を強調していること。もうひとつは明らかに現在のイラクやアフガニスタンの状況に重ね合わせようとする意図が感じられることである。
劇場公開は今月18日。シネカノン有楽町、シネ・アミューズ他で封切られ、全国で順次公開の予定。

The Wind That Shakes The Barley trailer

Cillian Murphy interview on "Talking Movies"(BBC)

Wind That Shake The Barley interview with director and cast

http://www.thewindthatshakesthebarley.co.uk/
http://www.imdb.com/title/tt0460989/
http://www.muginoho.jp/
http://www.cqn.co.jp/movies/index.html#muginoho

さて、この題名の「The Wind That Shakes the Barley(直訳では「大麦を揺らす風」)」はアイルランドの伝統歌の名曲からとられており、劇中でも歌われる。1798年のユナイテッド・アイリッシュメン(統一アイルランド協会)の蜂起を歌った、いわゆるレベル・ソング(抵抗歌)だ。この曲を収録したアルバムを幾つか紹介しておく。歌詞はここ

Solas
カラン・ケイシー在籍時のソーラスの2作目の1曲目がこの曲だが、ソーラスの結成10周年記念の歴代メンバー総集合ライヴCD&DVD「Reunion」(僕がライナーを書いている日本盤はここで購入)のDVDサイドにも収録されている。カラン版のソースはサラ・メイケムだそうで、彼女の歌うヴァージョンはオムニバス「Irish Voices」で聴ける。


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Rough cuts from the upcoming Suzanne Vega documentary - The Troubadour's Return

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数年前からずっと制作中と伝えられていたスザンヌ・ヴェガのドキュメンタリーが制作の最終段階を迎えているようで、映像の一部がネット上に公開され始めました。あと、現在録音中の新作(Blue Note移籍第1作)の制作場面を収録次第、仕上げにかかるそう。
http://www.suzannevegafilm.com/
http://www.myspace.com/suzannevegafilm

Suzanne Vega Documentary Rough Opening

Manchester, England Rough Cut

Marlene on the Wall (London)

Suzanne Vega clip

Suzanne Vega @Duo music exchange on April 1st 2005
Suzanne Vega @Joe's Pub in NY on June 1st 2004


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