"A Prairie Home Companion"
アルトマンの遺作となってしまった『A Prairie Home Companion』が、『今宵フィッツジェラルド劇場で』(仮)という邦題で来年3月に日本公開されることになりました。東京ではル・シネマとル・テアトル銀座での公開が予定されています。僕は米国で封切られた6月にNYで観ていますので、ごく簡単に紹介しておきます。
A Prairie Home Companion trailer
これは実在する同名番組『A Prairie Home Companion』を設定に借りて、まるで半世紀以上前からタイムトリップしてきたようなラジオ番組が大企業の局買収のために打ち切られる最終回の舞台裏を描く、音楽たっぷりのコメディ映画です。
実際の『A Prairie Home Companion』は全米計580以上の公共放送局で毎土曜午後に公開生放送されている人気番組で、日本でもAFN(かつてのFEN)で日曜午後4時からやっています。この映画の脚本を書き、自分をモデルにした役柄GKを演じているギャリソン・キーラーがホストを務め、音楽にコメディ・スキット、架空の町からのレポート、架空の商品のCMなどで構成されるヴァラエティ・ショウです。
そこでフィーチャーされる音楽は広義のフォーク音楽。伝統歌手からコンテンポラリーなシンガー・ソングライターまでのフォーク、カントリー、ブルーグラス、ブルーズ、ゴスペルなどが歌い演奏され、毎週豪華なゲストが登場します。映画ではメリル・ストリープとリリー・トムリン演じるヨランダ&ロンダ・ジョンソン姉妹とリンジー・ローハン扮するヨランダの娘ローラというカーター・ファミリー的なファミリー・グループと、ウディ・ハレルソンとジョン・C・ライリー扮するダスティ&レフティというユーモラスなカウボーイ・ソングを歌うコンビが楽しませてくれます。
その他は実際の番組の出演者たち。ヴェテラン・フォーク・デュオのロビン&リンダ・ウィリアムズ夫妻の健在ぶりを知るのは嬉しいかぎり。ゴスペル歌手のジェアリン・スティールはミネアポリス出身のゴスペル・ファミリー・グループ、スティールズの一員。スティールズは90年代に同郷のプリンスとよく共演してましたね。ジェアリンの姉ジェヴェッタは映画『バグダッド・カフェ』の印象的な主題歌〈コーリング・ユー〉を歌ったあの人です。
ウィンダム・ヒルのピアノ・アルバム数枚にも参加しているリチャード・ドゥオスキーの率いるバンドもなかなかのメンツですよ。パット・ドノヒューはチェット・アトキンズをして「世界最高のフィンガーピッキング奏者の一人」と言わしめた名ギタリスト。フィドルとサックスは、コマンダ・コディ&ヒズ・ロスト・プラネット・エアメンのアンディ・スタイン! そしてアルバムや教則本を幾つも出しているマンドリンとフィドルのピーター・オストロウスコといった面々を擁して、ゴキゲンなインストを何曲も聞かせてくれます。
本家の番組を知らなくても問題なく楽しめる映画ですが、番組を知らないと脚本の工夫した点だけはわからないかも。ケヴィン・クライン扮するガイ・ノワールもダスティ&レフティも元は番組内のスキットのキャラクターで、それを生身の人物にしたところがミソ。番組が進行する舞台裏でガイ・ノワールがヴァージニア・マドセン演じる謎の美女の正体を探るというプロットを作ったわけです。
もちろんアルトマンの社会批評精神は健在です。テキサスの大企業がラジオ局を買収し、番組に鉈を振るうという設定は、サンアントニオに本社を構え、経営陣がブッシュ家と深いつながりを持つクリア・チャンネル・コミュニケーションが全米のラジオ局を買いまくり、傘下に1200以上の局を持つ巨大メディア企業になって、その弊害が問題視されている現状を踏まえています。
"My Minnesota Home" Meryl Streep & Lily Tomlin as Yolanda and Rhonda Johnson
"Bad Jokes" Woody Harrelson and John C Reilly as Dusty & Lefty






































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