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Aimee Mann "The Forgotten Arm"

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エイミー・マンのニュー・アルバム「ザ・フォーゴトン・アーム」が日本先行で発売になりました。
日本盤はボーナス・トラック1曲追加。エイミー本人による曲解説やライヴ映像などが観れるサイトへのアクセスなどが特典となっています。初回生産限定デジパックで、32Pのイラストブック付きです。
宣伝用チラシに文章を書いたのですが、スペースの関係で最初に書いた文章をかなり縮めたものが掲載されています。そこで、せっかくですから、元の長さの文章をここにアップしておきます。


  3月にテキサス州オースティンで会ったエイミー・マンの左目下には小さなあざがあった。前の晩のコンサートでは曲間のしゃべりで「女があざをつけていると、人は理由を聞かないのね。憐れむようにこちらを見るだけなの」と自嘲気味なギャグにしていたが、もちろんそれは痴話喧嘩の跡ではない。エイミーは1年半ほど前からボクシングをやっていて、スパーリングでつけたあざなのである。
  細身のクール・ビューティーの彼女がパンチを繰り出す姿はちょっと想像しにくいが、ティル・チューズデイを解散してソロに転向して以来、エイミーがメジャー・レーベルの論理に妥協することなく、毅然として長年戦い続け、インディペンデント・アーティストの成功例の筆頭という現在の地位を勝ち取った経緯を考えれば、彼女の内面には昔からタフなボクサーが住んでいたのかもしれない。
  いや、エイミーのアルバムによく耳を傾ければ、そのことはとっくにわかっていたはず。彼女の洗練された知的な曲の中には常に激しい感情があるからだ。腹立たしさ、不満、控えめな自嘲、落胆、メランコリーといった感情を表現するシニシズムやウィットの混ぜられたメタファー豊かな歌詞がポップなメロディーと融合する。こういった種類のシンガー・ソングライターは女性にはそれほど多くなく、エイミー・マンは傑出した存在である。

  そのエイミーの約3年振りの新作が『ザ・フォーゴトン・アーム』だ。そのカヴァーは殴り合うボクサーのイラストだが、これはヴェトナム帰還兵で麻薬中毒のボクサーとその恋人の物語というコンセプト・アルバムの内容に即したもので、ボクシングは彼らの苦闘のメタファーでもある。このアルバムは主役のカップル、ジョンとキャロラインの関係を彼らの米国横断の旅と共に辿る音楽によるロード・ムーヴィーとなっている。エイミーを一躍有名にした99年の映画『マグノリア』で、全編に用いられた彼女の曲が登場人物の性格描写を大いに助けていたことを考えれば、こういった「小説のような曲集」もしくは「存在しない映画のサウンドトラック」と呼べる新作の登場はそれほど意外ではないだろう。
  一方で、サウンドに関しては新生面を披露している。ジョー・ヘンリーをプロデューサーに迎え、シェリル・クロウのギタリスト、ジェフ・トロットを加えたバンドとスタジオ・ライヴ的に録音された本作は、過去の作品に比べるとアーシーなロック色が濃い。これは70年代という物語の舞台ゆえでもあるし、その時代に南部のヴァージニアで育った彼女のルーツ回帰でもある。これまでのエイミーの音楽は60年代の英国ロック/ポップの影響が強かったが、今回はザ・バンドやサザン・ロック、ニール・ヤングなども意識したと言う。
  ただし、エイミーが特に名前を挙げるアルバムがエルトン・ジョンの『タンブルウィード・コネクション』であるのがおもしろい。というのは、それは英国人のエルトン・ジョン&バーニー・トウピンがザ・バンドの音楽を目指したアルバムだからだ。つまり、英国ロックのフィルターを通したアメリカン・ロックなのであり、エイミーのアプローチにも同様なひねりがあるわけだ。
  昨年秋に米国ではライヴDVDが発売されたし、本作はスタジオ・ライヴ的に録音された。それらが示唆するように、今エイミーはバンドとライヴで演奏することをとても楽しんでいる。とりわけ新作の曲は「ライヴで演奏すると、ファンタスティックなサウンドなの」と言う。そんな言葉を耳にすれば、ティル・チューズデイ時代以来となる悲願の来日公演の実現を期待してしまうのは当然だろう。

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Comments

こんにちは。

今回のエイミーマンのアルバムジャケットを見て、驚きました。
なぜかといいますと、「これじゃ売れないんじゃないか」と、いらぬ心配をしてしまったからです。
エイミーマンを知らない人が、このジャケットを見ても、なかなか手にとろうとはしないような気がしたからです。
あと、なんでボクシングなんだろう?と思ってましたが、Taddさんの今回の記事を読んで、謎が解けました。
エイミーマン、ボクシングしてたんですね。
なるほど。
ザ・バンドなどを意識していたり、ジョーヘンリーをプロデューサーに迎えていたりと、楽しみなアルバムです。

Posted by: 試聴が趣味のslowcd | April 30, 2005 at 10:48 PM

こんにちわ。
"彼女の内面には昔からタフなボクサーが住んでいた"というフレーズは美しさと強さをイメージする彼女にぴったりの言葉で素敵ですね。
唐突にSimon & Gurfunkleの"The Boxer"が思い返されました。(特に理由はないのですが。なんとなくです)
南部への"ルーツ回帰"であったり、ギタリストはシェリル・クロウの人だったりと、知らなかった事が知れてこちらの記事を読めて良かったです。
来日も近づいていますが、Toddさんのレポートなども楽しみにしております!

Posted by: kemji | September 27, 2005 at 05:54 PM

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Tracked on April 29, 2005 at 09:41 PM

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そしてボクシングな話題その2 エイミー・マンの今年4月頃にリリースされた3年ぶりのニューアルバムを…… 「フォーガトン アーム」 10月3日から彼女の初来日公演があることもあって! (生エイミー!初エイミー!行きます!) 今になって孰聴しています! 大体このアルバム、正直に言うと、このジャケットが今までの彼女の作品と違って何だかゴッツイし、フォーガットトゥ〜ン アームとか言われても正直ピンと来ないし、内容もコンセプトアルバムということで全体を通して1つのストーリーになって... [Read More]

Tracked on September 27, 2005 at 05:56 PM

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