http://www.nytimes.com/2004/08/05/opinion/05bruce.html
August 5, 2004
OP-ED CONTRIBUTOR
Chords for Change
By BRUCE SPRINGSTEEN
変革への和音
アーティストやミュージシャンはその国の社会生活と政治活動において特殊な立場にある。長年にわたって、僕はアメリカ人であることの意味について懸命に考えてきた。僕らが世界の中に占める他とは違った独自性と地位について、そしてどうやったらその地位を最も有効に用いられるかについて。僕らの誇りに訴え、僕らの失敗を批判する曲を書こうと努めてきたのだ。
これらの疑問は今回の大統領選挙の核心である。僕らは何者なのか、僕らは何を支持しているのか、何故僕らは戦っているのか。僕個人は過去25年間ずっと政党政治から一歩離れたところにいた。その代わりに、僕は一連の理想についての党員であり続けてきた。経済的公平、公民権、人道にかなった外交政策、自由、そして国民全員への一定水準の生活。しかしながら、今年は僕らの多くにとって、それらを危うくする可能性があまりに高いので、この選挙に参加しないわけにはいかない。
自分の作品を通して、僕は常にむずかしい質問を問いかけようと努めてきた。何故世界で最も豊かな国がその最も弱い国民への約束と信義を守ることがこれだけむずかしいのか? 何故僕らは今もなお人種のヴェールを取り除いて物事を見るのがそんなにむずかしいと感じているのか? どうやったら僕らは自分たちが大事にしているものを殺すことなくして、困難な時代に対処できないのか? 何故人としての約束の実現が今にもつかめそうなのに、永遠に手の届かないところにあるのか?
ジョン・ケリーとジョン・エドワーズがこれらすべてへの答えを持つとは思わない。だが、彼らが的確な質問を問いかけ、正しい解決策に向かって努力していくことに誠実な興味を持っていると僕は強く信じている。僕らが公正さ、好奇心、開放性、謙虚さ、すべてのアメリカ国民全員への気遣い、勇気、そして信念を優先する政権を必要としていることを彼らは理解している。
みんながこれらの価値について異なった意見を持ち、それらをそれぞれ異なったやり方で実践している。僕は自分の曲でそれらの幾つかについて歌おうとしてきた。でも、それらの意味することについて自分なりの考えもある。そこで僕は多くの仲間のアーティストたち、デイヴ・マシューズ・バンド、パール・ジャム、REM、ディクシー・チックス、ジュラシック5、ジェイムズ・テイラー、ジャクスン・ブラウンらに加わり、10月にこの国をツアーすることを計画している。僕らは「変革のための投票」という名前の新しいグループの傘下で演奏を行う。僕らの目標は政府の進む方向を変え、11月に現政権を交替させることだ。
多くの人びとと同じく、9月11日直後の時期に僕は国の団結を感じた。あれに類することは他に記憶がない。僕はアフガニスタン侵攻の決断を支持し、あの時期の深刻さが僕らの指導者たちに力と謙虚さと知恵をもたらすことを期待した。ところが、その代わりに、僕らはイラクでの不必要な戦争にむこうみずに飛び込み、今では信頼を失った状況下で若い男女の命を犠牲にしている。僕らは記録的な財政赤字を抱え、放課後プログラムのような行政サーヴィスの予算を縮小し、圧迫している。僕らは国民の1%の最も豊かな層(大企業のお偉方とか裕福なギター奏者)への減税を認め、貧富の差を拡大することによって、国民相互の社会契約を破壊し、「格差のないひとつの国」の約束を押し黙らせる怖れをもたらしている。
神の見つめる前で生きていくためには、人間の資質の最良のもの――他者への敬意、自分自身への正直さ、自分たちの理想を信じること――を誠実に実践しなければならない。そうすることによって、国として、個々の人間としての、僕らの魂が明らかになる。僕らのアメリカ政府はアメリカの価値観からあまりに遠く離れたところに迷い込んでしまった。前に進むときだ。僕らが心に描くところの国が待っている。
ブルース・スプリングスティーン
(translated by Tadd)
Copyright 2004 The New York Times Company
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