いわゆる輸入権問題に関連して[7]
金曜日の衆議院文部科学委員会での著作権法改正案の審議、いやあ面白かった。
民主党の議員の質問は予想以上の鋭いツッコミで、この法改正の妥当性の根本の部分がガラガラと崩れ去っていった。
輸入権が欧米からのCDにも適用されるのか以前に、この還流盤阻止自体が必要なのかを再検討する必要を僕も強く思っていたが、民主党さんがやってくれた。
議論の出発点である現在68万枚とされている還流盤の数字の根拠が実に曖昧なものであるとはっきりと示したのである。
結局のところ、文化庁は規制を求める業界の持参した資料をそのまま鵜呑みにして、法案を草案したわけだ。
その他にも、同様の輸入権を採用している国の数は文化庁の言う65か国ではなく、国会図書館調べではなんとアメリカとカナダの2カ国だけ(それもカナダは書籍だけが対象)とか、中継を観ていて不謹慎ながら爆笑の連続だった。
審議の録画ヴィデオは
http://www.shugiintv.go.jp/ref.cfm?deli_id=23893&media_type=
で。5時間20分あるが、 民主党の城井崇、松本大輔、川内博史議員の質問は必見。
輸入CD規制問題、衆院での審議が始まる――かみ合わない質疑
ひどい根拠で著作権法は改正されようとしている~5/28の文部科学委員会のまとめ
なども参考に。
次の審議は6月1日で、高橋健太郎氏が参考人で出席する。
ところで、その健太郎氏のブログで、CCCDの導入反対を強く訴えている萩原健太氏がレコード会社2社から制裁処置を受けていることが紹介されている。
http://blog.livedoor.jp/memorylab/archives/2004-05.html#20040528
馬鹿げた、そして情けない話である。
異なる意見への寛容さを持てない者が文化産業に係わる資格は無い。
何故批判を怖れるのか。
CCCDというものに自信を持って消費者に提供しているのなら、何も恐れる必要は無いはずだ。
批判がそんなにいやなら、評論家の口をふさぐことよりも、市販の大半の再生機での再生保障と、問題が起きたら返品、交換を受け付ける、という「商品」としての最低限の条件を満たす製品への改良を優先すべし。
このCCCDや輸入権問題以前から、一部のレコード会社は辛い点をつけた評を載せた音楽雑誌から広告出稿を取りやめるなどの圧力をかけてきた。とりわけこの数年にその傾向が強いようだ。
もちろん自分たちが一生懸命制作した作品が厳しい批評を受けるのは面白くないだろう。
しかし、100枚アルバムが発売されて100枚全部が傑作なんてことはありえないわけだから、健太郎氏の「音楽評論家なんだから、言うことの半分はレコード会社やアーティストへの苦言になるのは当然。それは敵対ということではない」という発言は実にもっともなことだ。
(ま、ちょうちん持ち記事しか載らない類の雑誌を見てみると、デビューする全てのアーティストが天才で、世の中にはカリスマだらけ、ということになるのだが)
日本レコード協会会長であるAvexの依田氏は、参考人として出席した参議院の文教科学委員会(4月15日)で、米英独などの輸入盤を「パッケージはプアであっても、中身の情報は圧倒的に少なくても」と言っている。
現在の米英独のCDを「パッケージはプア」なんて言うのは、レコード会社の長であるのに実際のCDをよく知らないと告白しているようなものだが、まあ、それはいい。
つまり、彼は「日本盤はパッケージが素晴らしく、情報もたくさん入っている」と言いたいわけだ。
その情報というのは、たぶん解説と訳詩を指しているのだろう。
だが、その仕事をしている僕が言うのもおかしいが、解説なんて高々4000~5000字程度の分量である。
日本の音楽ファンにとっての国内盤発売のメリットがより多くの情報を得られることだと依田氏が本気で思っているのなら、ただ解説を付けるだけにとどまらず、その作品をめぐる様々な意見が飛び交う健全な批評の場を育てる環境作りの支援が必要なはずだ。
ところが、現在のレコード業界の大勢はその全く逆のことをやっているではないか。
